基本法案にむけた提案(2019年1月)

日本認知症本人ワーキンググループでは、「認知症とともに生きる希望宣言」に基づいて、認知症・認知症の人にかかる基本法案の検討に関して、以下の提案を行います。(2019年1月)

基本法に関する認知症の本人からの提案

1.法の名称は、「認知症の人基本法」に
- 人のための基本法であることを、名称で明確に -

■「人(国民)が、認知症とともにあたりまえに暮らせる社会の実現」を、国として目指していくことを、法の名称で明確に示すことができると、社会に根強く残る偏見の解消が進み、すべての世代の人が希望をもって暮らしていくことができる。
■施策は手段であり、目的や理念が形骸化してしまわないように、「人」が、明確に示された名称が必要。


2.目的及び理念は、「認知症の人」を主語にし、人権の明記を
- 人として、あたりまえに暮らすための権利があることを基本に -

■認知症の人が全国で数百万人も存在し、今後さらに多数の人たちが認知症になることが見込まれている国として、人が認知症になってからも、偏見や差別をうけずに、「自分らしくあたりまえに生き生きと暮らし続けられること(権利があること)」を明確に掲げることが、本人はもとより、家族や社会の安心や活力を高め、施策が真に役立つように方向づけられる。
■すでに制定されている「障害者基本法」では人権の重視が明確に掲げられており、それと同一水準、あるいは新たに作られる法として、より人権を重視した目的・理念を掲げることが、社会全体の発展のために必要。
■国際社会においては、障害者権利条約の理念に基づき、人権を基盤に置いた施策設計が主流となっている。


3.支援される一方ではなく、本人が共によりよく暮らすための条文を
- 自らの力を活かして、社会の一員として心豊かに暮らし続ける社会を創る -

■外出や仕事、買物、楽しみ等、一人ひとりが望む暮らしを続けられるための本人向けの情報や社会環境を整備することをまず基本とすることが、安心や自立(自律)、安定した暮らしを生み出す基礎になる。
■それらが、本人はもとより家族や地域の負担軽減や、過剰な医療や介護等の解消をもたらすとともに、地域社会の活性化や真に役立つ産業の振興、未来の国民全体の幸せにつながる。