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プロジェクト

研究・論文

令和7年度老人保健健康増進等事業


中・重度の認知症の人の本人発信・参画に関する調査研究事業

当法人では、令和7年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)として、「中・重度の認知症の人の本人発信・参画に関する調査研究事業 」を実施しました。(令和8年3月、以下報告)


<事業報告書>

ダウンロードはこちらから(PDFファイル:約10.8MB/A4判・113ページ)


<事業概要(サマリー)>

1.事業目的
「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では、認知症の人が自らの意思を尊重され、地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現を目指しており、自治体が認知症施策推進計画を策定する際には、本人の思いや意見を丁寧に受け止め、施策に反映することが求められている。
近年、本人の声を計画づくりに生かす取組が広がっているが、その多くは意見を伝えやすい軽度の人を中心に実施されている。一方で、中・重度の認知症の人の「声にならない声」は施策に届きにくく、計画等に反映されていない現状がある。本事業は、中・重度の認知症の人の本人発信・参画に取り組む自治体や事業所の詳細な調査と検討等をもとに、中・重度の人の思いや意見を汲み取り、本人発信・参画につなげるための方策を提言としてまとめることを目的とした。

2.事業概要
(1)検討委員会の設置・開催:全3回、オンライン開催
(2)中・重度の本人の発信・参画に関する全国基礎調査の実施(都道府県・市町村)
実施時期:令和7年11月6日~12月26日(市町村は、~1月13日)
回収・回収率:都道府県100%、市町村58.6%
(3)中・重度の本人の発信・参画に関する詳細調査
①本人及び関係者への現地聞取り調査:令和7年9月~令和8年2月(4県8箇所)
②フォーカスグループ調査:令和7年11月12日~13日(ビジョンセンターグランデ東京浜松町)
(4)提言の詳細及び収集事例等を掲載した冊子及びその概要版冊子:「『本人の声』を起点とした地域づくり・計画作りの手引き~中・重度の認知症の人の思いと力も生かそう~」の作成
(5)事業報告コンテンツ作成と公開

3.事業結果
■分析・考察
・検討委員会では、中・重度の認知症の人にも確かな意思と発信があり、日常の思いを丁寧に受け止めることこそが本人参画の本質であるとの認識が共有された。また、人生歴や価値観を踏まえた関係性づくり、環境調整、馴染みの人とのつながりが発信を支える基盤となること、また行政と現場の理解のギャップを埋め、本人の声を起点とする文化を組織や地域全体で育てていく必要性が示された。自治体・事業所・本人・家族・地域が協働し、日常の暮らしの中で本人が声を上げ続けること、その声(思い)を生かすことが参画を支える鍵となる。

・本人参画は、本人の発信力を保ち伸ばすことに加え、周囲がどのように気づき、環境を整え、思いを共有していくかが重要な要素である。現場には優れた実践が存在するものの、個人の判断や経験に依存している側面が強く、組織や地域として取り組みを支える仕組みが十分ではないことが課題である。

・また、本人の声を記録し共有する方法が統一されていないため、ケアプランや自治体の計画等に本人の視点や声が十分反映されにくい状況にある。行政・サービス提供現場・家族等がそれぞれの立場で本人参画を支える必要があるが、共通言語や共通理解が不足しているという課題も明らかになった。

■提言の基本的な考え方
・本事業では、自治体職員等にむけて、以下の3つの提言を示した。
提言1 中・重度を含むすべての本人発信・参画の可能性を重視し、施策推進の出発点に
提言2 本人の声を施策づくりの中心に置き、現場での対話と協働を深める
提言3 本人の思いが早期から最後まで継続して生かされる仕組みを整える

・また、本研究事業の成果をふまえ、今後とくに重要と考えられる取組のポイントを「本人発信・本人参画を進める7つのポイント」として整理した。

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